Giselle

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知らない人のための

ジゼル

 

 

 


バレエファンの間では 周知の演目ジゼル。

12月 ブログで取り上げた時の記事を ひとつにまとめてみました。

009のブログなので、いつにも増してバレエ初心者向けです。

もう知ってるよ~
と言われる方、少々御辛抱ください。




さて ジゼルのお話


そう、バレエはちゃんとストーリーがあり、
セリフの代わりにダンスと音楽で 
劇を演じているのです。


そして 振り付けと音楽は ほとんど決まっています。


町のお教室の発表会も 世界的バレエ団も
振り付けと曲は ほぼ同じです。 


バレエに関わるまで
しろくまは この事さえ知りませんでした





村娘ジゼルは 母親と恋人の愛にめぐまれて
病弱ながら幸せに暮らしていました。


が、秋のある日、

恋人ロイス(本名アルブレヒト)が 既に婚約者のいる
領主の息子と知って 
ショックで気がふれて 死んでしまいます。

 

 

 

 

 

 


ここまでが一幕。




ジゼルが死ぬのは気の毒ですが、

一幕中盤は
村人の踊りがあったり、
恋にときめくジゼルの可憐な踊りがあったり、
ジゼルに思いを寄せる村の青年が出てきたりと

わいわい楽しい雰囲気も味わえます。

 

 

 

 

 


そして第二幕

闇の夜、
ジゼルの墓の前で、自分の裏切りを悔い
嘆き悲しむアルブレヒト。


幽霊(ウィリ)となって現れたジゼルは 
ウィリの親分ミルタに命じられ、アルブレヒトを 死に誘う舞いを踊ります。


肉体を持つ可憐な少女から 
死んだ女へと変貌したジゼル。

ダンサーは がらりと雰囲気を変えて踊らなければなりません。

 

 


裏切られたと知りながら、
まだアルブレヒトを愛しているジゼルは


十字架の側から離れないよう アルブレヒトにつげ
ミルタに操られて誘惑の舞いを踊ります。
(十字架のそばは安全らしい)

 

 

とうとうジゼルの魅力に引きずり込まれ、
ともに踊り始めるアルブレヒト。


ここが最後の見せ場のパドドゥ(男女ペアの踊り)ですね。


激しい踊りに アルブレヒトは息も絶え絶えになりますが、

やがて朝の鐘が鳴り、ウィリたちは死者の国に帰って行きます。


ジゼルもまた、
アルブレヒトに「いつまでもあなたを愛しています」
と告げ 朝霧とともに消えていくのでした。


 
と いう悲しくも美しい結末。





バレエの世界では ストーリーは踊るための口実なので、

心臓の弱い娘があんなハードな踊りを踊れるか?
とか
男にふられたくらいで気が狂って死ぬか?


などと言ってはいけません。

 

 

 

 

 

 

ジゼルの役はバレエダンサーの技術と表現力の見せどころ。



踊りの技術の高さはもちろん

恋に心をときめかす乙女
男に裏切られて狂気におちいる どん底の女
死んだあとの幽鬼になった女 と

まさに女のすべてを演じなくてはなりません。



それも あの高度な踊りをこともなげに踊りながら。
まさにスーパーエトワールならではの役です。

(エトワール=星 パリ・オペラ座バレエ団の花形ダンサーの事ですね)

 

 

ドガ 三人の踊り子
ドガ 三人の踊り子




このジゼルの役は 私を含め俗世の垢にまみれた女性から見ると

あり得ない性格です。


自分を裏切った男を 親分に背いて助けようとするのですから。

アルブレヒトは助かったら、
あの婚約者と結婚するんでしょ?!



その立場にならないとわからないけど、釈然としないのは確かです。



初演当時も
男性に都合良すぎる話だとか
恋人にふられただけで死ぬか?とか
批評はあったみたいです。

(当時も女性は元気だったのね)




「裏切った女に赦され救われる」
男性の理想の極みの話ながら


時代が移り変わっても
多くの人に愛され、演じられ続けるのは何故でしょう?





最後にジゼルが到達した 
愛憎のレベルを超えた愛だからです。 

「真実の愛」は


老弱男女問わず、惹き付けられます。

霊的な・・・神的なといっていい
人の理想とする愛の形・・・・



この普遍的な愛の表現が 人の心の奥の理想と結びつくからこそ、

ジゼルは200年近くもの間 人々に愛され続けるのでしょう。




パリ・オペラ座図書館に残る『ジゼル』第2幕、アレクサンドル・ブノワの美術絵
パリ・オペラ座図書館に残る『ジゼル』第2幕、アレクサンドル・ブノワの美術絵

 

 


ジゼルは 1841年 パリ・オペラ座で初演され、
大成功をおさめました。

が、その後 忘れられ、現在見ているジゼルはロシアで手を加えられたものです。

忘れられた? あんな素敵な演目なのに?

それにロシア?



そう言えば、バレエ用語はすべてフランス語なのに、
ロシアがバレエ界ではばを利かせているのは何故だろう??

 

 

てなわけで ジゼルにからんで

フランスとロシア のバレエの史実を 次のページに記しました。